5000m20分切り8週間計画!VO2max閾値を強化し失速回避をチェックしよう

5k_sub20_training_plan トレーニング
20分は、1kmあたり4分、トラック1周400mで1分36秒を正確に刻む配分力と、VO2max・閾値を底上げする計画性で突破できます。本ガイドでは、達成基準と目標ペースの可視化、8週間での段階的トレーニング、インターバルとテンポ走の設計、フォーム効率化、当日の戦略、補強・栄養・回復の順に、実務的テンプレートと早見表を提示します。

忙しい人でも置き換え可能な週間テンプレ、判断ミスを防ぐチェックリストも用意し、再現性の高い実装で達成確率を引き上げます。

  • 基準ペース:4:00/km、400m=1:36、200m=0:48、100m=0:24
  • 配分:前半控えめ、3〜4kmで閾値域、ラスト1kmは負荷上げ
  • キー練:400m×10〜12、1000m×5、20分テンポ走
  • 補強:腸腰筋・臀筋・ふくらはぎの連動強化
  • 当日:20〜25分の段階的WUと96秒周のラップ管理

達成基準と目標ペースの全体像

まず、20分切り達成に必要な走力と配分の型を押さえます。達成の鍵は、4:00/kmを乱高下させない安定性と、無理のない範囲での終盤ビルドアップです。現状の10km・3000m・1500mなど既存記録との関係から妥当性を確認し、心拍ゾーン・主観的運動強度も合わせて把握しましょう。過大な序盤突っ込みは最も頻出の失敗原因で、3km地点の余裕度が全体の成否を左右します。

必要走力の目安

VDOTや換算表を用いると、10km42分前後、3000m11分30秒前後がひとつの目安となります。スピード余裕度を作るため、1500mでは5分台後半を狙えると心強いです。もっとも、記録は条件に左右されるため、等強度走を週次で安定して積めているかを並行して評価しましょう。

目標ペースとスプリット

平均4:00/km、400mは96秒、200mは48秒。理想は1〜2kmでやや抑え、3〜4kmで4:00をキープ、最後の1kmで3:55まで上げる設計です。気温が高い日は2〜3秒/km緩めて等主観強度で進めるのが安全です。

心拍とRPE基準

平地・涼温下での目安は最大心拍の85〜92%、RPEは7〜8。中盤で会話は困難だが短文は可能程度の強度を維持しましょう。

既存記録からの換算

10km記録や3kmTTをもとに、5kmの妥当目標を設定します。下表の簡易換算で過大目標を避け、練習での達成確率をチェックします。

つまずきやすい落とし穴

時計ばかり見てフォームが崩れる、レストで歩き過ぎて心拍が落ち過ぎる、疲労管理が甘く重要セッションが消化不良、といったパターンが典型です。週の核は2本に絞り、その他は護送船団で守ると破綻しにくくなります。

指標 目安値 活用ポイント
平均ペース 4:00/km 400m=1:36、200m=0:48
心拍 Maxの85〜92% 暑熱時は-2〜3秒/km
10km換算 42:00前後 涼温での指標に限定
3kmTT 11:30前後 翌日は完全回復
RPE 7〜8 中盤で維持
  1. 現在記録を整理し妥当目標を設定する
  2. 週間2本の核セッションを固定する
  3. 疲労度に応じてE走は短縮する
  4. 暑熱時は等強度維持を優先する
  5. 月次で再評価して微修正する
  • 序盤オーバーペースを避ける
  • フォーム監視の合図を決める
  • 補給と睡眠の下地を整える
  • ラップは200mまたは400mで刻む
  • 風向きとコース幅を事前確認

8週間トレーニング計画の設計

8週間で基礎→強化→仕上げ→テーパーの順に進みます。週2本のキー練(VO2max系と閾値系)を核に、他はE走と補強で支えます。忙しい週は時間短縮の置換案で破綻を防ぎます。

フェーズ設計と週配分

1〜2週はボリューム慣らし、3〜5週で強度のピークを作り、6週で疲労を一度抜き、7週に最終刺激、8週はテーパー。週走行距離は体重や故障歴に応じて20〜60kmの範囲で調整します。

週間テンプレート

例として、火曜VO2max、金曜閾値、週末にEロング。回復優先で間隔を空け、3日連続の質は避けるのが原則です。

置き換え例と時短案

時間が足りない日は、400m×6に短縮、または20分テンポを15分に圧縮し、ドリルと流しで質を担保します。

曜日 セッション 目的
400m×10〜12 R=200mジョグ VO2max刺激
E走40〜60分+流し×4 回復と経済性
20分テンポ走 or クルーズ1000×4 閾値向上
Eロング70〜90分 心肺と筋持久
随時 補強20分 故障予防
  1. 週の核を2本に固定する
  2. 核の間にE走を挟む
  3. 月一で疲労抜き週を設ける
  4. ボリュームは10%以内で増減
  5. 時短時は質を優先する
  • 雨天は屋内ドリル+短縮インターバル
  • 朝活はWU延長、夜はWU短縮
  • 通勤ランでE走を確保
  • 記録用に週報を付ける
  • 痛みは即座に中止し様子見

VO2maxと閾値を伸ばすキーセッション

スピード余裕度と持続力の両輪を鍛えるため、VO2max系の400m/1000mと、閾値域のテンポ走・クルーズインターバルを組み合わせます。レスト管理と反復数が伸びのカギです。

400m/1000mインターバル設定

400mは目標ペース〜やや速めの92〜96秒、R=200mジョグ60〜75秒。1000mは3:58〜4:05、R=200〜400mジョグ。フォーム維持が崩れたら即終了します。

テンポ走とクルーズインターバル

テンポ走は20分間を4:10〜4:15/kmで、呼吸が乱れ過ぎない範囲。クルーズ1000×4〜5は4:05〜4:10/km、R=60〜75秒。等主観強度を狙います。

レスト管理と反復数

慣れるまでは反復数を減らし、レスト中は歩かずスロージョグで心拍を落とし過ぎないのがポイントです。

メニュー 設定 狙い
400m×10〜12 92〜96秒/R200m VO2max刺激
1000m×5 3:58〜4:05/R200〜400m 耐乳酸
テンポ走20分 4:10〜4:15/km 閾値向上
クルーズ1000×4 4:05〜4:10/R60〜75秒 持続力
流し×6 80〜100m 神経活性
  1. 最初の2週は反復を少なめにする
  2. ペースよりフォーム優先で組む
  3. 暑熱時はレスト延長を許容
  4. セット間に給水と歩数確認
  5. 終了後にEジョグで冷却
  • GPS誤差を見越しトラック活用
  • シューズは反発過多に注意
  • 上り下りで強度を均す
  • 動画で接地を確認
  • 週内で同系統を重ねない

フォームとピッチ改善で効率を上げる

記録はエンジンだけでなくドライブトレインの効率で決まります。骨盤の前傾維持、腕振りのリズム、接地時間短縮で、同じ心拍でも速度を引き上げます。ピッチは180±10を目安に個体差で最適値を探ります。

上半身と骨盤の安定

みぞおちを前に運ぶイメージで骨盤を軽く前傾。肩はすくめず、肘角度は90±15度、後方に引く意識を強めます。

接地時間とケイデンス

足を前に置き過ぎず、体の真下〜やや前で接地。接地音を静かにし、地面を後ろに流す感覚を養います。

坂と向かい風の対処

上りはピッチ維持でストライドを短く、下りは接地時間を延ばさず制動を減らす。風は隊列を活用し、単独先頭は避けるのが賢明です。

要素 目安/キュー チェック法
骨盤 軽前傾 動画で腰の角度
腕振り 後方へ鋭く 肘の引き幅
接地 静かで短く 接地音の小ささ
ピッチ 170〜190spm メトロノーム
視線 15〜20m先 頭のブレ
  1. WUでメトロノーム合わせをする
  2. 200m毎に接地音を確認
  3. 動画で腰高をチェック
  4. 上りは腕でリズムを作る
  5. 下りは接地時間を短くする
  • 呼吸は鼻吸い口吐きを意識
  • 手の開き過ぎを防ぐ
  • 顎を引き背中を丸めない
  • 着地は内外に偏らせない
  • 足裏の接地順序を一定に

レース戦略と当日の運び

当日は準備8割、配分2割。ウォームアップ、スタート位置、ラップ管理、風や勾配の対処、終盤の意思決定までパッケージにします。迷いを残さない事前合意が勝ち筋です。

ウォームアップとルーティン

15〜20分のEジョグ、ドリル5分、流し80〜100mを3〜4本。最後の流しからスタートまで5〜8分を空け、ゼーハー手前で止めます。

ペース配分とラップ管理

96秒周を基本に、1〜2kmは98→96秒、3〜4kmは96秒、最後は94〜95秒に上げます。向かい風区間は集団活用で等主観強度を保ちます。

レース中の意思決定

過速なら早めに2秒/km落とす、遅れは下りや追い風で回収。ラスト1200mでギアを上げ、最後の400mはフォーム最優先で崩さず押し切ります。

局面 行動 狙い
スタート前 WU完了5〜8分前に整える 過呼吸回避
序盤 98→96秒周 脚温存
中盤 等強度維持 失速防止
風区間 隊列活用 省エネ
終盤 94〜95秒周 記録更新
  1. スタート位置は実力に見合う位置を選ぶ
  2. 向かい風で無理に前に出ない
  3. 遅れは下りで回収する
  4. 給水は必要最小限に留める
  5. 最後の直線で腕振りを倍化
  • シューズ紐は二重結び
  • GPSは自動ラップに頼り過ぎない
  • 安全ピンは4点固定
  • トイレは30分前に済ます
  • 整列時は保温を徹底

補強トレーニングと栄養・回復

伸び続ける人は、筋力・腱の剛性・神経系、そして栄養・睡眠の基礎が強い。故障予防が最大の時短です。週2〜3回の補強と平日の睡眠確保で、練習の質を落とさず回します。

筋力とプライオメトリクス

ヒップヒンジ、片脚スクワット、カーフレイズ、ショートホップなどを短時間で積み上げます。動作のキレを重視します。

栄養と水分の戦略

日常はたんぱく質1.2〜1.6g/kg、糖質でエネルギーを満たし、練習前後に炭水化物と水分・電解質を補います。朝練は軽い糖質を必ず入れます。

睡眠と疲労管理

就寝・起床を固定し、昼寝は20分以内。HRVや主観疲労で翌日の質を調整します。

項目 頻度/量 ポイント
補強20分 週2〜3回 連続でやり過ぎない
プライオ 週1〜2回 疲労時は中止
たんぱく質 1.2〜1.6g/kg 分散摂取
水分/電解質 練習前中後 体重変化±2%以内
睡眠 7〜8時間 就寝時刻固定
  1. 補強は走る日の後にまとめる
  2. 高強度とプライオは同日回避
  3. 練習後30分で補食
  4. 就寝90分前に入浴
  5. スクリーン照度を落とす
  • 鉄・亜鉛・ビタミンDを点検
  • カフェインは午後控えめ
  • 朝日は毎日浴びる
  • 安易な体重減は避ける
  • 痛みは72時間以上で受診

まとめ

5000m20分切りは、安定した4:00/kmと終盤の微ビルド、そして故障しない継続力で達成できます。最初に達成基準とスプリットを明確化し、8週間の枠でVO2maxと閾値を伸ばすキーセッションを週2本実施、その他はE走と補強で支えるのが合理的です。

フォームは骨盤とピッチ、接地時間の3点で改善し、当日は段階的ウォームアップとラップ管理で迷いを排除します。栄養・睡眠・水分を整え、忙しい日は置換案で破綻を防ぎましょう。計画の再現性こそ最強の近道です。ラップ早見表とチェックリストを手元に、今日から一歩ずつ積み上げていきましょう。