2026年1月18日、広島で開催された第31回全国都道府県対抗男子駅伝(ひろしま男子駅伝)。
駅伝王国としてのプライドを胸に挑んだ兵庫県チームは、激戦の末に見事3位でフィニッシュし、表彰台への返り咲きを果たしました。
宮城の初優勝という歴史的な大会となる中で、兵庫県チームが見せた「粘り」と「次世代の躍動」は、多くの駅伝ファンを熱くさせました。
本記事では、兵庫県チームが3位に入ったレース展開を振り返りながら、立役者となった選手の活躍や勝因を深掘りします。
まずは、今大会の上位結果と兵庫県のタイムを確認しましょう。
| 順位 | チーム | 記録 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 優勝 | 宮城県 | 2:16:55 | 大会タイ記録・初優勝 |
| 2位 | 福島県 | 2:17:20 | トップと25秒差 |
| 3位 | 兵庫県 | 2:17:53 | 2年ぶり入賞・表彰台 |
| 4位 | 岡山県 | 2:18:28 | 過去最高順位 |
全国都道府県対抗男子駅伝で兵庫県チームが3位に入った決定的な要因
今年の兵庫県チームが激戦の安芸路で3位という好成績を収めた背景には、明確な勝因とチーム全体の戦略的な粘りがありました。
優勝した宮城、2位の福島という「東北勢」の圧倒的なスピードに対応しながら、兵庫がいかにして順位を守り抜いたのかを紐解きます。
1区・新妻遼己が作った完璧な流れ
レースの流れを決定づける1区(7.0km)で、西脇工業高校の新妻遼己選手が素晴らしいスタートを切りました。
区間新記録を叩き出した宮城の鈴木選手や福島の増子選手という超高校級のランナーがハイペースで飛ばす中、冷静に先頭集団付近で食らいつきました。
結果として区間3位という好位置でタスキを渡したことが、後続のランナーに「焦らず走れる」という精神的な余裕を与えました。
1区での出遅れが致命傷になる現代駅伝において、この好発進こそが3位入賞の最大の原動力でした。
4区・新妻昂己の区間賞で勢いを加速
1区の遼己選手の双子の兄弟である4区(5.0km)の新妻昂己選手の走りも、今大会のハイライトの一つでした。
中盤の重要区間でタスキを受けた昂己選手は、前を走るチームを猛追し、見事にこの区間での区間賞を獲得しました。
この快走により、兵庫県チームは単独3位の座をより強固なものにし、上位2チームを追撃する態勢を整えました。
高校生区間での「新妻兄弟」のリレーは、兵庫の選手層の厚さを全国に知らしめる結果となりました。
中学生区間の粘りと繋ぎの意識
都道府県対抗駅伝の鍵を握ると言われる中学生区間(2区・6区)でも、兵庫の若きランナーたちは大崩れすることなくタスキを繋ぎました。
特に6区では、後続から追い上げてくる岡山や群馬といった強豪チームのプレッシャーを感じながらも、自分のペースを乱さずに走り抜きました。
派手さはなくとも、順位を大きく落とさない「ミスのない走り」ができたことが、最終的な表彰台確保に繋がっています。
将来の兵庫を背負う中学生たちが、全国の舞台で萎縮せずに力を発揮できたことは大きな収穫です。
アンカー藤田大智の勝負強さと死守
最終7区(13.0km)を任されたのは、中央大学で活躍する実力者、藤田大智選手でした。
3位でタスキを受け取った藤田選手ですが、背後からは4位の岡山県チームが猛烈な勢いで迫ってくる展開となりました。
しかし、藤田選手は持ち前の安定感とラストの粘りを発揮し、決定的な逆転を許さずに3位のポジションを死守しました。
大学生ランナーとしての意地と経験が、チームの表彰台を確定させるラストスパートを生み出しました。
チーム全体に浸透していた「3位確保」の執念
レース後の山口監督の「3番をみんなで全力で守った」というコメントが象徴するように、チーム全体に目標達成への執念がありました。
優勝した宮城の勢いが凄まじい中で、無理にトップを追って共倒れするのではなく、確実に表彰台を確保する冷静なレース運びが機能しました。
各選手が「自分の区間で1秒でも稼ぐ」「順位を落とさない」という役割を全うした結果が、この3位という好成績に結実しています。
個の力だけでなく、チームとしての総合力とマネジメントが光った大会でした。
ハイレベルな高速レースとなった2026年大会の展開分析
今年のひろしま男子駅伝は、1区から区間新記録が飛び出すなど、近年稀に見る超高速レースとなりました。
このハイスピードな展開の中で、兵庫県チームがどのように戦い、なぜ上位に食い込めたのか、レース全体の流れから分析します。
宮城・福島の「東北対決」が生んだ高速化
レースは序盤から、初優勝を狙う宮城と、前回王者の長野や福島による激しいつばぜり合いが展開されました。
特に1区で宮城と福島が飛び出したことで、レース全体のペースが一気に上がり、後続のチームは苦しい展開を強いられました。
兵庫県チームはこの高速化に飲み込まれることなく、自分たちの設定タイムを刻むことで、オーバーペースによる自滅を防ぎました。
上位2チームが抜けていく中でも、焦らずに「第2集団の頭」をキープし続けた判断が奏功しました。
「攻め」と「守り」のバランスが生きた区間配置
兵庫県チームのオーダー編成は、高校生の実力者を主要区間に配置し、大学生と中学生で脇を固めるバランス型でした。
特に、勢いのある高校生(新妻兄弟)を前半と中盤の要所に置いたことで、レースの流れを自分たちの方へ引き寄せることに成功しました。
一方で、長丁場のアンカー区間には経験豊富な大学生を配置し、最後は「守り切る」布陣を敷いたことが的中しました。
選手の適性を正確に見極め、高速レースに対応できる配置を行った首脳陣の戦略眼が見逃せません。
他県の追い上げを封じた中盤の走り
3区から5区にかけての中盤戦では、岡山、群馬、埼玉といったライバル県が激しく順位を入れ替える混戦となりました。
しかし、兵庫は4区での区間賞獲得などでこの混戦から一歩抜け出し、単独3位という「安全圏」を一時的に作り出しました。
この中盤でのリード(貯金)があったからこそ、終盤に他県の猛追を受けても精神的に優位に立つことができました。
混戦を抜け出す爆発力を持った選手を中盤に配置できたことが、3位確保の大きな要因です。
次世代エースの台頭!兵庫県チームの注目選手たち
3位入賞という結果だけでなく、今大会は兵庫の将来を明るく照らす「次世代エース」たちの活躍が目立ちました。
特に注目を集めた選手たちのパフォーマンスと、彼らがチームにもたらした影響について詳しく解説します。
西脇工業高校「新妻兄弟」の圧倒的存在感
今大会の兵庫県チームで最も輝きを放ったのは、間違いなく西脇工業高校の新妻遼己選手と新妻昂己選手の二人です。
1区の遼己選手は区間3位、4区の昂己選手は区間賞と、兄弟揃って全国トップレベルの実力を証明しました。
彼らの走りは、かつての「兵庫王国」を支えた名選手たちを彷彿とさせる力強さとスピードがありました。
高校駅伝界でも注目される彼らが、都大路だけでなく都道府県対抗でも結果を残したことは、今後の兵庫にとって大きな財産です。
アンカー藤田大智が見せた大学生の意地
最終区間を任された藤田大智選手(中央大)は、プレッシャーのかかる場面で冷静かつ力強い走りを見せました。
箱根駅伝などの大舞台を経験している強みを生かし、単独走となってもペースを乱さず、最後までフォームを崩しませんでした。
高校生が作った良い流れを、大人の走りでしっかりと結果(3位)に結びつけた貢献度は計り知れません。
若いチームを背中で引っ張る、頼れるアンカーとしての役割を100%全うしました。
将来有望な中学生ランナーの発掘
駅伝強豪県である兵庫は、中学生の育成システムもしっかりしており、今大会も将来性豊かな選手が出走しました。
全国の猛者たちが集う舞台で、物怖じせずにタスキを繋いだ経験は、彼らにとって何物にも代えがたい成長の糧となります。
彼らが高校生になり、主力として再びこの安芸路に戻ってくる数年後が非常に楽しみです。
兵庫の「育成のサイクル」が順調に回っていることを確認できた点でも、意義のある大会となりました。
駅伝王国・兵庫の「復権」と今後の展望
2年ぶりの入賞、そして3位表彰台という結果は、兵庫県チームにとって「完全復活」への確かな足掛かりとなりました。
今回の結果が示す意味と、来年以降の優勝に向けた課題や展望について考察します。
「3位」が意味するチーム力の底上げ
近年、長野県の独走や東北勢の台頭により、兵庫県チームは絶対的な王者としての地位を脅かされていました。
しかし、今大会で激戦を勝ち抜き3位に入ったことは、チームの地力が依然として全国トップクラスであることを証明しました。
特に、特定のスター選手一人に頼るのではなく、高校生を中心に全員でカバーし合う駅伝ができた点は高く評価できます。
この「総合力の高さ」こそが兵庫の伝統であり、今後も強さを維持するための土台となります。
打倒・宮城&長野に向けた課題
3位という結果は素晴らしいものですが、優勝した宮城、そして今回は順位を落としたものの強豪である長野との戦いは続きます。
今回のレースでは、優勝チームとのタイム差が約1分あり、特に「絶対的なエース区間での爆発力」において差を感じる場面もありました。
来年以降、頂点を奪還するためには、1区やアンカー区間で区間賞を独占するような、圧倒的な「ゲームチェンジャー」の育成が必要です。
今大会で好走した新妻兄弟らがさらに成長し、チームを牽引する存在になることが期待されます。
地元・兵庫の応援とサポート体制
兵庫県チームの強さを支えているのは、選手の実力だけでなく、地元陸上関係者やファンの熱心なサポート体制です。
中高一貫した強化システムや、実業団チームとの連携など、県全体で選手を育てる土壌が整っています。
今回の3位入賞は、そうしたサポート体制が正しい方向に向かっていることを再確認させるものでした。
来年の第32回大会に向け、県全体が一丸となって「王座奪還」を目指す機運はさらに高まるでしょう。
まとめ:兵庫県チームの3位は次なる栄光への序章
2026年の全国都道府県対抗男子駅伝において、兵庫県チームは3位という素晴らしい成績を収めました。
1区・新妻遼己選手の好発進、4区・新妻昂己選手の区間賞、そしてアンカー藤田大智選手の粘りの走りが噛み合った結果です。
優勝した宮城の勢いには及びませんでしたが、駅伝王国としての底力と、次世代の才能が躍動した価値あるレースでした。
今回の結果を自信にしつつ、選手たちはすでに来年の頂点を見据えています。
私たちファンも、進化を続ける兵庫県チームの走りをこれからも全力で応援していきましょう。
来年こそは安芸路の真ん中で、兵庫の選手が歓喜のゴールテープを切る姿が見られるはずです。
今回の記事で兵庫県チームの激走に興味を持った方は、ぜひ各選手の所属チームや今後のレース情報もチェックしてみてください。
彼らのこれからの成長と活躍を追うことで、駅伝観戦がさらに楽しくなることは間違いありません。


