フルマラソンペース表|サブ3〜サブ6の1km配分と5km通過タイムが一目で分かる

marathon_pace_chart レース準備

フルマラソンペース表で、目標タイムから1kmのキロペースと5kmごとの通過タイム、補給やアラート設定の目安まで一括で確認できます。コースの高低差や気温を加味した現実的な配分で、最後まで落ちない走りを設計しましょう。

  • サブ3〜サブ6の目安ペースを網羅
  • 4:00〜7:00/kmの換算タイム
  • 5km刻みの通過タイム目安
  • スタートロス対策と補正の考え方

フルマラソンのペース表とは(見方・使い方)

「フルマラソンペース表」は、目標タイムから平均キロ(1kmあたりの所要時間)や5kmごとの通過タイムを即座に引ける早見表です。練習の再現ラップづくりからレース当日の配分、補給タイミング設計まで一貫して活用できます。数値を“走りの意思決定”に直結させることで、後半の失速リスクを体系的に下げ、自己ベストや完走の確度を高めます。

基本式と読み方

  • 基本式:フルタイム = キロペース(秒) × 42.195キロペース = 目標秒 ÷ 42.195
  • 平均キロ:1kmを何分何秒で走るかの目安。例:5:41/km ≒ 4時間
  • 通過タイム:5km・10km・ハーフなどの累積タイム。配分のズレを早期発見できる指標。
  • ネット/グロス:ネットは計測マット通過〜ゴール、グロスは号砲〜ゴール。目標がグロスならスタートロスを織り込む。
入力 計算 結果
キロペースからフル換算 5:30/km 330秒 × 42.195 3:52:04
目標タイムからキロ 4:00:00 14,400秒 ÷ 42.195 5:41/km

活用ステップ(練習〜当日)

  1. 目標設定:最近の10km/ハーフ記録や体調を基に、現実的なゴールタイム(範囲)を決める。
  2. 配分選択:イーブン/ややネガティブ寄り(後半をわずかに速く)を基本に、コース条件で補正。
  3. ラップ設計:5kmごとの通過目安と補給タイミング(30〜45分ごと)をペース表に書き込む。
  4. 当日運用:GPSの誤差を想定し、距離標識を優先。誤差が累積したら5km単位で微調整。

ポイント:序盤の体感が「余裕あり」でも+3〜5秒/kmの貯金にとどめる。大きな前半貯金は、後半の“借金”になりやすい。

目標タイム別ペース表(サブ3〜サブ6)

代表的な目標(サブ3/サブ3.5/サブ4/サブ5/サブ6)の平均キロとハーフ通過の目安です。イーブン配分の基準として使い、気温や高低差、混雑に応じて±数秒を柔軟に調整しましょう。

平均キロと通過の基準

目標 目標タイム 平均キロ ハーフ通過(目安)
サブ3 2:59:59 4:16/km 1:29:59
サブ3.5 3:29:59 4:59/km 1:44:59
サブ4 3:59:59 5:41/km 1:59:59
サブ5 4:59:59 7:07/km 2:29:59
サブ6 5:59:59 8:32/km 2:59:59

配分の作り方(イーブン/ネガティブ)

  • イーブン:呼吸とフォームが安定しやすく、給水・補給の計画も立てやすい。
  • ネガティブ1〜2%:後半をわずかに速く。例(3:30:00):1:46:03 → 1:43:57(1%)1:47:06 → 1:42:54(2%)
  • ポジティブ回避:前半の貯金を作りすぎない(目安+3〜5秒/kmまで)。

現実的な注意点

スタート混雑
前半の1〜2kmで無理に抜かない。後半で十分に取り返せる。
下りの使い方
ピッチ優先で“ちょい速”に。ブレーキ走法やストライド暴発は脚を削る。
補給の先手
お腹が空く前・喉が渇く前に、時間で摂る。30〜45分ごとが目安。

キロペース別早見表(4:00〜7:00/km)

練習やレースでよく使うレンジ(4:00〜7:00/km)のフル・ハーフ・10km・5km換算です。今日の体感ペースからフル換算の“現実ライン”を素早く見積もれます。

ペース→距離別換算

1kmペース フル(42.195km) ハーフ 10km 5km
4:00/km 2:48:47 1:24:23 0:40:00 0:20:00
4:10/km 2:55:49 1:27:54 0:41:40 0:20:50
4:20/km 3:02:51 1:31:25 0:43:20 0:21:40
4:30/km 3:09:53 1:34:56 0:45:00 0:22:30
4:40/km 3:16:55 1:38:27 0:46:40 0:23:20
4:50/km 3:23:57 1:41:58 0:48:20 0:24:10
5:00/km 3:30:59 1:45:30 0:50:00 0:25:00
5:10/km 3:38:01 1:49:01 0:51:40 0:25:50
5:20/km 3:45:03 1:52:32 0:53:20 0:26:40
5:30/km 3:52:04 1:56:03 0:55:00 0:27:30
5:40/km 3:59:06 1:59:35 0:56:40 0:28:20
5:50/km 4:06:08 2:03:06 0:58:20 0:29:10
6:00/km 4:13:10 2:06:37 1:00:00 0:30:00
6:10/km 4:20:12 2:10:08 1:01:40 0:30:50
6:20/km 4:27:14 2:13:39 1:03:20 0:31:40
6:30/km 4:34:16 2:17:10 1:05:00 0:32:30
6:40/km 4:41:18 2:20:39 1:06:40 0:33:20
6:50/km 4:48:20 2:24:10 1:08:20 0:34:10
7:00/km 4:55:22 2:27:41 1:10:00 0:35:00

使い方:今日のLT走が4:40/kmなら→フル換算は3:16:55。ここから気象・コース・練習量を加味して“攻める/守る”を決める。

通過タイム目安表(5km刻み)

レース当日は5kmのブロックで配分を管理すると、誤差が累積しにくく、補給・給水も合わせやすくなります。代表目標(3:30/4:00/5:00)のイーブン目安を掲載します。

3時間30分狙い(平均 4:59/km)

距離 通過 距離 通過
5km 0:24:53 25km 2:04:25
10km 0:49:46 30km 2:29:18
15km 1:14:39 35km 2:54:11
20km 1:39:32 40km 3:19:05
ハーフ 1:45:00 42.195km 3:30:00

4時間狙い(平均 5:41/km)

距離 通過 距離 通過
5km 0:28:26 25km 2:22:12
10km 0:56:53 30km 2:50:38
15km 1:25:19 35km 3:19:05
20km 1:53:45 40km 3:47:31
ハーフ 2:00:00 42.195km 4:00:00

5時間狙い(平均 7:07/km)

距離 通過 距離 通過
5km 0:35:33 25km 2:57:45
10km 1:11:06 30km 3:33:18
15km 1:46:39 35km 4:08:51
20km 2:22:12 40km 4:44:24
ハーフ 2:30:00 42.195km 5:00:00

スタートロスの扱い(グロス目標の場合)

目標 スタートロス 必要平均キロ(概算) 備考
4時間 0:00 5:41/km 基準
4時間 0:30 5:41/km 実質は約0.7秒/km速め
4時間 1:00 5:40/km 約1.4秒/km速め
4時間 1:30 5:39/km 約2.1秒/km速め
  • ネット重視ならロスは無視でOK。
  • グロス重視時のみ、5kmごとに数秒の微調整で取り返す(早掛け禁止)。

コース・気象条件に応じたペース補正

同じ「平均キロ」でも、気温・湿度・風・高低差・路面で体感負荷は変化します。以下は経験則にもとづく“目安幅”です。個人差を踏まえ、安全側に補正するのが鉄則です。

気象・地形による秒/kmの目安補正

条件 状況 推奨補正(目安) 運用ヒント
気温 15〜20℃ ±0〜+3秒/km 体感で微調整。直射日光なら+数秒。
気温 20〜25℃ +6〜+12秒/km 給水を早め、塩分も計画的に。
気温 25〜30℃ +12〜+25秒/km 後半勝負を捨て、完走最優先。
向かい風 3〜5m/s +5〜+15秒/km 集団の後方で風避け。フォームを小さく。
上り 累積↑100m超 +5〜+20秒/km 心拍管理。ピッチ優先。
下り 累積↓100m超 −3〜−8秒/km 脚を残す。踵ブレーキ厳禁。
路面 荒れ/未舗装 +3〜+10秒/km 接地時間を短く、上体リラックス。

配分シナリオ例(起伏・風を前提に)

  • 前半向かい風→後半追い風:前半は心拍一定で我慢、後半で自然にネガティブ。
  • 前半下り→後半上り:前半で+3〜5秒/kmの小さな貯金。上りは歩幅を詰めて維持。
  • 往復コース:復路の風向き・日差しを優先。前半は補給の先手を打つ。

経験則:悪条件では「キロ数秒の守り」を徹底。完走(安全)>自己ベスト(攻め)。

レース当日の実践テクニック

良いペース表も、当日の運用次第で価値が変わります。ウォッチ設定、給水・補給、トラブル対処まで“迷わない仕組み”を整えておきましょう。

GPSウォッチ設定(おすすめ)

項目 設定 狙い
自動ラップ 1km(+手動スプリット併用) 距離標識でズレ補正しやすい。
表示項目 ラップペース/平均ペース/距離/心拍 瞬間値に振り回されない。
アラート 上限心拍/下限ペース 序盤の暴走・後半の失速を抑制。
オートポーズ OFF 給水所での計測停止を防ぐ。

補給・給水のタイミング設計

  • 補給食:40分・80分・120分・160分(必要に応じて)を基準に、前倒し気味で。
  • 給水:全エイドを“触る”。一口でもOK。暑い日はスポドリ優先。
  • 塩分:60〜90分ごとに少量。手汗の味(しょっぱさ)も指標。

よくある失敗と回避策

失敗例 原因 回避策
序盤のオーバーペース 集団・高揚感 心拍上限アラート/5kmまで“−3秒ルール”
中盤の補給忘れ 判断遅れ 腕に補給時刻を書き、時計で通知
GPS距離ズレ 建物・コース形状 標識基準で判断、5kmごとに帳尻調整
後半の脚つり 脱水・ミネラル不足 スポドリ+水の二刀流、塩分を忘れない

最後のひと押し:37〜38km地点で“フォームの原点”に戻る。背筋・腕振り・接地を丁寧に。

まとめ

フルマラソンペース表は、目標タイムに対し「現実的に維持できる配分」を数値で可視化し、失速リスクを抑えるための判断軸になります。気温・風・混雑でのロスを想定し、イーブン〜ややネガティブ寄りで設計、当日はGPSずれを見越した安全マージンで管理しましょう。

  • 気象・高低差に応じて±数秒/kmを調整
  • 5kmごとに補給・体感をチェック
  • ウォッチの自動ラップと手動スプリットを併用