「ひろしま男子駅伝」の愛称で親しまれ、世代を超えたタスキリレーが感動を呼ぶ全国都道府県対抗男子駅伝。
中学生から社会人まで、各カテゴリーのトップランナーが集結するこの大会では、毎年驚異的な「区間記録」が誕生しています。
特に近年はシューズの進化やトレーニングの高度化により、長らく破られなかった「不滅の記録」が次々と更新される歴史的転換期にあります。
本記事では、第30回大会(2025年)の最新結果を含む全7区間の歴代最高記録を一覧で紹介し、各区間の特徴や勝負のポイントを深掘りします。
- 全7区間の歴代区間記録(最新版)
- 2025年大会で生まれた驚愕の新記録
- 勝負を分ける「魔の区間」と「高速区間」の特徴
全国都道府県対抗男子駅伝の区間記録とコース特徴を完全解剖
全7区間、48.0kmで争われるこの大会は、区間ごとに走る年代(中学生、高校生、一般)が厳格に決められているのが最大の特徴です。まずは全区間の記録保持者と、そのタイムを見てみましょう。
【保存版】歴代区間最高記録一覧(2025年終了時点)
以下は、2025年の第30回大会終了時点での歴代最高記録です。直近数年で多くの記録が塗り替えられており、まさに「スピード駅伝」の時代を象徴しています。
| 区間 | 距離 | カテゴリー | 記録 | 氏名(県・所属) | 樹立年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1区 | 7.0km | 高校生 | 19分31秒 | 川原 琉人(長崎・五島南高) | 2024年 |
| 2区 | 3.0km | 中学生 | 8分14秒 | 石田 洸介(福岡・浅川中) | 2018年 |
| 3区 | 8.5km | 一般 | 23分22秒 | 葛西 潤(大阪・旭化成) | 2024年 |
| 4区 | 5.0km | 高校生 | 14分02秒 | 山口 竣平(長野・佐久長聖高) | 2023年 |
| 5区 | 8.5km | 高校生 | 23分32秒 | 佐々木 哲(長野・佐久長聖高) | 2025年 |
| 6区 | 3.0km | 中学生 | 8分29秒 | 和田 仁志(長野・赤穂中) | 2012年 |
| 7区 | 13.0km | 一般 | 36分52秒 | 鈴木 健吾(愛媛・富士通) | 2024年 |
2025年大会で更新された注目の新記録
第30回記念大会となった2025年のレースでは、高校生区間である5区で歴史的な記録更新がありました。
長野県の佐々木哲選手(佐久長聖高)が、従来の記録を大幅に更新する23分32秒をマーク。この区間はこれまで村澤明伸選手(2009年)や吉岡大翔選手(2023年)といった歴代のスーパーエースたちが競ってきた難所ですが、佐々木選手はその壁を軽々と超えていきました。
「高速化」が止まらない近年のトレンド
表を見ると分かる通り、7区間中5区間の記録が2023年以降に樹立されています。これは厚底シューズの普及に加え、中高生の育成レベルが飛躍的に向上していることを示しています。
かつては「10年破られない」と言われた記録が、翌年には更新されることも珍しくありません。2026年以降も、気象条件さえ整えば、さらなる記録更新の可能性は十分にあります。
優勝への鍵を握る「世代間の連携」
区間記録を見る上で重要なのが、異なるカテゴリーの選手がどうタスキをつなぐかという点です。高校生のスピードスターが作った貯金を、中学生が粘り強く守り、最後に大学生・実業団のトップ選手が勝負を決める。
この「世代の融合」こそが、都道府県対抗男子駅伝の醍醐味であり、区間記録が生まれる背景には必ず前走者の好走や、競り合うライバルの存在があります。
2026年大会の注目ポイント
次回の第31回大会(2026年)では、特に中学生区間(2区・6区)の記録更新に期待がかかります。石田洸介選手が2018年に出した記録は驚異的ですが、近年の3000mトラックの記録水準を考えると、いつ誰が破ってもおかしくない状況です。
高校生エースが集う重要区間(1区・4区・5区)

高校生が担当する3つの区間は、レース全体の流れを決定づける非常に重要なパートです。特に1区と5区は距離も長く、各県の絶対的エースが投入されます。
1区(7.0km):スピードスターたちのロケットスタート
平和記念公園前をスタートする1区は、位置取り争いが激しいスリリングな区間です。以前は佐藤悠基選手の19分51秒(2005年)が長く輝いていましたが、2024年に川原琉人選手がついに19分30秒台前半まで記録を縮めました。
この区間での出遅れは、後続の中学生ランナーに大きなプレッシャーを与えるため、記録もさることながら「先頭集団に食らいつく勝負勘」が求められます。
4区(5.0km):中盤のスピード区間
4区は5kmという短い距離ゆえに、トラックレースのような高速バトルが展開されます。2023年に山口竣平選手が樹立した14分02秒は、5000mトラックのタイムとしても一級品です。
つなぎの区間と思われがちですが、ここで区間賞を獲得するチームは勢いに乗り、優勝争いに絡むことが多い「隠れた重要区間」です。
5区(8.5km):高校生最長・勝負の分水嶺
高校生区間の中で最も長い8.5kmを走る5区は、各チームの「エース中のエース」が登場します。アップダウンへの適応力とスタミナが不可欠です。
2025年に佐々木哲選手が出した23分32秒という記録は、1km平均2分46秒という驚異的なペース。ここでトップに立てるかどうかが、最終7区への流れを決定づけます。
未来のオリンピアンが駆け抜ける中学生区間(2区・6区)
中学生が担当する3kmの区間は、まさに「未来の怪物は誰だ」を見極めるためのショーケースです。距離が短いため、一瞬の判断ミスが命取りになります。
2区(3km):混戦を切り裂く爆発力
1区の高校生からタスキを受ける2区は、集団が混戦状態であることが多く、冷静かつ大胆な走りが求められます。
石田洸介選手が持つ8分14秒という記録は、中学生離れしたスピードです。この区間で「ごぼう抜き」が見られることも多く、観客を最も沸かせる区間の一つと言えるでしょう。
6区(3km):アンカーへのラストパス
アンカーにタスキを渡す直前の6区は、優勝争いのプレッシャーが極限まで高まる場面です。
歴代記録を持つ和田仁志選手をはじめ、ここで好走した選手の多くが、後に高校・大学駅伝で活躍しています。2025年には埼玉の小笠原慶翔選手が8分36秒で区間賞を獲得し、チームを上位に押し上げました。
中学生ランナーの育成と記録
近年の中学生記録の向上は、ジュニア期の指導法確立や、全国的な強化合宿の成果と言えます。身体の成長段階にあるため、無理な走り込みよりも、効率的なフォームやスピードの質が記録に直結しています。
大学・実業団の威信をかけた一般区間(3区・7区)

「ふるさと選手」制度により、郷土の誇りを胸に走る大学生や実業団選手たち。彼らが担う3区と7区は、まさに大人の意地がぶつかり合うステージです。
3区(8.5km):エース級が揃う前半の山場
3区は宮島街道を走る主要区間で、各チームの主力が配置されます。2024年に葛西潤選手が23分22秒の新記録を樹立し、大森輝和選手の伝説的な記録(23分26秒)をついに更新しました。
前半の流れを決定づけるこの区間では、箱根駅伝やニューイヤー駅伝で活躍したスター選手同士の並走が頻繁に見られます。
7区(13.0km):勝負を決する最長アンカー
最終7区は全区間で最長の13km。平和大通りを駆け抜け、フィニッシュテープを切る花形区間です。
長らく大島健太選手の記録が目標とされてきましたが、2024年に鈴木健吾選手が36分52秒(推定)で駆け抜け、マラソン日本記録保持者の実力を見せつけました。スタミナ、スピード、そして精神力のすべてが問われる過酷な区間です。
「ふるさと選手」のドラマ
7区を走る選手たちは、単に速いだけでなく、地元への感謝や恩返しの気持ちを持って走ります。その精神的な強さが、限界を超えたラストスパートを生み出し、数々の名勝負と区間記録を演出してきました。
まとめ:記録更新の瞬間を見逃すな
全国都道府県対抗男子駅伝の区間記録は、日本長距離界の進化の歴史そのものです。2025年大会までの結果を踏まえた、観戦のポイントをまとめます。
- 高校生5区のレベルが異次元に突入し、23分30秒台の争いへ。
- 1区と4区のスピード化が進み、序盤からハイペース必至。
- 一般区間(3区・7区)も20年ぶりに記録が動き、新時代の到来。
- 2026年大会では、中学生区間の記録更新が最大の焦点。
次回のレースでは、どの区間でどんな新記録が生まれるのか。タスキに込められた想いと共に、刻一刻と進化するタイムにもぜひ注目して観戦してください。


